
毛髪移植と薄毛治療、培養液ひとつにも研究を重ね続ける理由
毛髪移植の結果は手術だけで決まるものではありません。移植された毛包が健康に生着し成長するためには、毛包周囲の環境と頭皮の状態も重要な要素です。
モディヘアプラントはこの点に着目し、最新の研究をもとに毛包細胞培養液にカッパーペプチド(GHK-Cu)とデクスパンテノール(Dexpanthenol)を追加して適用しています。
今回の記事では、この2つの成分を追加した理由と期待される役割、そしてモディヘアプラントが治療プロトコルを継続的にアップデートしている理由についてご説明します。
💡 要点まとめ
- カッパーペプチド(GHK-Cu)は、毛乳頭細胞の活性や頭皮の微小環境改善の可能性が研究されている成分です。
- デクスパンテノールは、皮膚バリアの回復と保湿を通じて健康な頭皮環境の維持に役立つ可能性があります。
- モディヘアプラントは、この2つの成分を毛包細胞培養液と併せて適用し、補助的な相乗効果を期待しています。
- 個人の薄毛の原因や状態によって治療計画は異なる場合があり、医療スタッフの診療を通じて決定されます。
モディヘアプラントはなぜ培養液をアップグレードしたのでしょうか?
毛髪移植と薄毛治療の分野では、現在も新しい研究が絶えず発表されています。
かつては毛髪を植える技術そのものが治療の中心でしたが、近年は毛包が生着し成長する環境をどのように改善するかについての研究も活発に行われています。
特に次のような要素が重要視されています。
- 毛乳頭細胞(Dermal Papilla Cell)の活性
- 頭皮の微小環境(Microenvironment)
- 皮膚バリア(Barrier Function)
- 細胞外マトリックス(ECM)
- 炎症の調節
- 成長因子が作用する環境
モディヘアプラントでは、このような研究の流れをもとに毛包細胞培養液の長所をより活かせる方法を継続的に検討しており、その結果、現在はカッパーペプチドとデクスパンテノールを併せて使用しています。
培養液の色が青い理由は何でしょうか?
治療を受けられる方の中には
「培養液はもともと青色なのですか?」
とご質問される場合があります。
従来の毛包細胞培養液は、ほぼ無色に近い色でした。
しかし現在使用している培養液は淡い青色を帯びていますが、これはカッパーペプチド自体が青みを帯びた成分であるためです。
モディヘアプラントではエアジェット機器を用いて培養液を頭皮に届けるため、ごく稀に衣服に少量が飛び散る可能性があります。
そのため、治療前に十分にご説明し、同意をいただいたうえで施術を行っています。
幸いカッパーペプチドは水溶性の成分ですので、水で洗えばほとんどの場合、簡単に落とすことができます。

カッパーペプチド(GHK-Cu)とは何でしょうか?
カッパーペプチド(GHK-Cu)はCopper Tripeptide-1とも呼ばれる生理活性ペプチドです。
人体に自然に存在する小さなペプチドで、銅(Copper)と結合した形をしています。
長い間、皮膚の再生や創傷回復の分野で研究されており、近年は薄毛治療の分野でもさまざまな研究が進められています。
これまでに発表された研究では、次のような可能性が報告されています。
- 毛乳頭細胞の活性
- 細胞生存の維持
- 皮膚再生の促進
- コラーゲン生成の増加
- 頭皮の微小環境の改善
ただし現時点では標準的な薄毛治療に取って代わるほどの根拠ではなく、既存の治療と併せて用いる補助的なアプローチとして理解することが適切です。
① 毛乳頭細胞の活性に役立つ可能性
毛髪が育つために最も重要な細胞のひとつが毛乳頭細胞(Dermal Papilla Cell)です。
毛乳頭細胞は毛包の下部に位置し、毛髪の成長に必要なさまざまなシグナルを周囲の細胞に伝える役割を担っています。
分かりやすく言えば、毛包の成長スイッチを調節する中核となる細胞と理解していただければと思います。
モディヘアプラントで使用している毛包細胞培養液も、こうした毛乳頭細胞に由来するさまざまな成長因子を含んでいます。
近年の一部の研究では、カッパーペプチドが
- 毛乳頭細胞の増殖を促進し
- 細胞生存を維持し
- 細胞死(アポトーシス)を減少させる方向に作用する可能性
が報告されています。
つまり、すでに使用している毛包細胞培養液と併せて適用した場合、毛包細胞が機能しやすい環境をつくることに役立つ可能性があるということです。
もちろんこうした結果はまだ追加の研究が必要な分野であり、モディヘアプラントでもこれを既存の治療を補完する戦略として活用しています。

② 毛包周囲の環境(ECM)改善の可能性
毛髪は、単に毛包ひとつが健康であれば well 育つというものではありません。
毛包を取り囲む皮膚組織と細胞外マトリックス(ECM, Extracellular Matrix)も重要な役割を果たします。
ECMは細胞を支え、成長因子が作用する基盤となる構造物です。
分かりやすく言えば、細胞が健康に活動できるように支える「足場」のような構造です。皮膚科の分野では、カッパーペプチドがコラーゲンやエラスチンの生成に関与し、ECM形成を助ける方向で研究されてきました。
こうした特性は頭皮においても毛包周囲の組織が健康に維持される環境をつくることに肯定的な役割を果たす可能性があります。
したがってモディヘアプラントでは、毛包細胞培養液と併せて使用した際に成長因子が作用しやすい微小環境の形成に役立ち得るかを考慮して治療に適用しています。
③ カッパーペプチドがDHTの生成過程に及ぼす影響は?
男性型脱毛症の最も代表的な原因のひとつがDHT(Dihydrotestosterone、ジヒドロテストステロン)です。
DHTは男性ホルモンであるテストステロンが5α還元酵素(5-alpha reductase)によって変換されることで生成され、遺伝的な影響を受ける毛包では、このDHTが毛包を次第に萎縮させ、毛髪が細くなる過程を引き起こします。
現在広く使用されているフィナステリドとデュタステリドも、この5α還元酵素を抑制する原理で薄毛治療に用いられています。
近年、一部の細胞研究および前臨床研究では、カッパーペプチド(GHK-Cu)がこのようなDHTの生成過程や関連するシグナル伝達に影響を与える可能性が示されています。
ただし現時点での根拠は主に前臨床研究や一部の限られた研究に基づくものであり、フィナステリドやデュタステリドのように効果が立証された薬剤と同じ水準とみなすことはできません。
したがってモディヘアプラントでは、カッパーペプチドを薄毛治療薬に代わる成分ではなく、毛包細胞培養液と併せて使用できる補助的な相乗成分として適用しています。

デクスパンテノール(Dexpanthenol)はなぜ併せて使用するのでしょうか?
カッパーペプチドが毛包細胞の機能と頭皮の微小環境に焦点を当てた成分だとすれば、
デクスパンテノールは健康な頭皮環境を維持する役割により近い成分です。
デクスパンテノールはプロビタミンB5(Provitamin B5)とも呼ばれ、皮膚に吸収されるとパントテン酸(Pantothenic Acid)に変換されます。
皮膚科では以前から
- 皮膚バリアの回復
- 保湿
- 肌の鎮静
- 損傷した皮膚の回復
などのために広く使用されている成分です。
健康な頭皮環境はなぜ重要なのでしょうか?
毛髪は毛包から育ちますが、毛包が健康に機能するためには周囲の頭皮環境も非常に重要です。
薄毛の患者さまの場合、次のような問題が併せて現れることも少なくありません。
- 脂漏性頭皮炎
- 過剰な皮脂の分泌
- 慢性的な炎症
- 損傷した皮膚バリア
- 乾燥した頭皮
このような環境では、成長因子が十分に存在していても毛包が機能しにくい場合があります。
デクスパンテノールは皮膚バリアを回復させ、水分を維持することに役立つ可能性があるため、毛包細胞が活動しやすい頭皮環境を整える補助的な役割が期待できます。

毛包細胞培養液と併せて使用した際に期待できる相乗効果
モディヘアプラントでは、それぞれの成分を個別に捉えるのではなく、
培養液 + カッパーペプチド + デクスパンテノールが互いに補完的な役割を果たし得るという点に注目しています。
各成分の役割を整理すると次のとおりです。
| 成分 | 期待される役割 |
|---|---|
| 毛包細胞培養液 | 成長因子の供給および毛包細胞が活性化しやすい環境の形成 |
| カッパーペプチド | 毛乳頭細胞の活性、毛包周囲の微小環境改善の可能性 |
| デクスパンテノール | 皮膚バリアの回復、保湿、頭皮環境の改善 |
このようにそれぞれの役割が異なるため、併せて使用した場合には毛包が機能しやすい環境をつくるうえでの相乗効果を期待しています。
もちろん個人の薄毛のタイプや頭皮の状態によって治療計画は異なる場合があり、医療スタッフの診療を通じて適切な治療が決定されます。
モディヘアプラントはなぜ治療プロトコルを継続的にアップデートするのでしょうか?
医学は絶えず発展しています。
薄毛治療についても新しい研究が発表されており、既に知られている治療法も継続的に補完されています。
モディヘアプラントは、こうした研究結果を絶えず検討し、実際の臨床に適用する価値がある場合には治療プロトコルをアップデートしています。
新しい成分を無条件に導入するのではなく、
- 研究根拠
- 安全性
- 実際の臨床適用の可能性
などを総合的に検討したうえで治療に反映しています。
今回のカッパーペプチドとデクスパンテノールの追加も、このような過程のひとつです。
モディヘアプラントの治療哲学
モディヘアプラントは単に毛髪移植を行うクリニックではなく、
毛髪移植の前から、手術後の回復と生着の管理、そして長期的な毛髪の維持まで一緒に考えるクリニックを目指しています。
そのために
- 毛包細胞培養液
- PDRN
- 幹細胞をベースとした治療
- 頭皮ケアプログラム
など、さまざまな治療を患者さまの状態に合わせて適用しています。
今後もモディヘアプラントは最新の研究を継続的に検討し、根拠に基づいた治療を通じて患者さまにより良い医療サービスを提供できるよう努めてまいります。
このような方におすすめします。
✔ 毛髪移植後の回復をより体系的に管理したい方
✔ 毛包細胞培養液による治療を検討されている方
✔ 頭皮環境まで併せて管理したい方
✔ 最新の研究を反映した薄毛治療に関心のある方
✔ 幹細胞をベースとした薄毛治療をお探しの方
よくあるご質問(FAQ)
Q. カッパーペプチドだけを使用しても薄毛は良くなりますか?
カッパーペプチドは薄毛治療のための補助的な成分として研究されています。現時点では標準的な薄毛治療に取って代わるほどの根拠は十分ではなく、既存の治療と併せて適用するのが一般的です。
Q. デクスパンテノールは薄毛治療薬ですか?
いいえ、違います。
デクスパンテノールは皮膚バリアの回復と保湿、頭皮環境の改善のための成分として使用されており、薄毛を直接治療する薬剤ではありません。
Q. 培養液が青色である理由は何ですか?
カッパーペプチド自体が青みを帯びた成分であるためです。
水溶性の成分ですので、ほとんどの場合、水で簡単に洗い落とせます。
Q. 毛髪移植後にも使用できますか?
患者さまの状態に応じて、医療スタッフの判断のもと、毛髪移植後の頭皮の回復と毛包環境の管理のための補助的な治療として活用される場合があります。
YouTube動画で詳しく見る
「毛髪移植の効果を高めるために培養液をアップグレードした理由」
参考資料
- Pickart L, Margolina A. Regenerative and Protective Actions of the GHK-Cu Peptide in the Light of the New Gene Data. Int J Mol Sci. 2018;19(7):1987. doi:10.3390/ijms19071987 (無料閲覧)
- Gorski J, Proksch E, Baron JM, Schmid D, Zhang L. Dexpanthenol in Wound Healing after Medical and Cosmetic Interventions (Postprocedure Wound Healing). Pharmaceuticals (Basel). 2020;13(7):138. doi:10.3390/ph13070138 (無料閲覧)
上記の文献は、カッパーペプチド(GHK-Cu)の組織再生・回復に関連する作用と、デクスパンテノールの皮膚バリア回復効果を検討した研究・レビューです。この2つの成分は標準的な薄毛治療に代わるものではなく補助的に使用されるものであり、本文でご紹介した内容は特定の効果を保証するものではありません。
本コンテンツはモディヘアプラントクリニックの医療スタッフの監修を経て掲載されています。