
脱毛症により小さくなった毛包は、単純に栄養供給だけでは回復しない場合が多くあります。近年では、毛髪内の幹細胞(Hair Follicle Stem Cells)を用いて縮小した毛包を再び活性化させる治療が国際学術誌に発表され、新たな治療の可能性を示しています。
出典: Garg AK, Garg S.
“Enzymatic Dissociation and Identification of Hair Follicle Stem Cells for Reversing Miniaturization in Androgenetic Alopecia.”
Hair Transplant Forum International. 2025;35(3):88–93.
毛包幹細胞治療とは?
毛包幹細胞治療とは、健康な毛包の中に存在する幹細胞を分離し、脱毛症が進行した部位に注入する再生治療です。
従来の薬物治療が脱毛症の進行を遅らせることを目的とするのに対し、
毛包幹細胞治療は
✔ 毛包自体の再生能力を高め
✔ 細くなった毛髪(Miniaturization)を改善することを目標としています。
近年 Hair Transplant Forum International(2025)に発表された研究でも、こうした可能性が紹介されました。

なぜ毛包幹細胞が重要なのか?
アンドロゲン性脱毛症では、時間が経つにつれて毛包が次第に小さくなり、太い毛髪が薄い産毛のように変化します。
これを毛包縮小(Miniaturization)といいます。
問題は、一度縮小した毛包は単純な栄養供給だけでは回復が難しいという点です。
そのため、近年では毛包内の幹細胞を活用して縮小した毛包の再生を誘導する研究が活発に進められています。

国際論文ではどのような治療を行ったのでしょうか?
論文では、毛髪移植の過程で得られた健康な毛包を使用しました。
酵素(トリプシン)を用いて、ここから毛包幹細胞(HFDSC)を分離した後、
脱毛症が進行した部位に直接注入しました。
研究対象は
- 治療群20名
- 対照群20名
で行われました。
分離された細胞は
CD200
CD34
CD44 などの幹細胞マーカーを確認し、
実際に幹細胞が存在するかを分析した上で使用されました。
研究結果

6ヶ月後の結果はかなり意味のあるものでした。
毛髪密度の増加
約19%増加
毛髪の太さの増加
約20%増加
細胞生存率
約96%
写真評価
すべての治療群で有意な改善が確認されました。
逆に対照群は時間が経つにつれて脱毛症がさらに進行しました。
幹細胞はどのように分離するのでしょうか?
今回の研究ではトリプシン(Trypsin)を使用しました。
しかし、近年の幹細胞研究では
コラゲナーゼ(Collagenase)を使用する方法も多く活用されています。
各酵素には長所と短所があります。
| 項目 | トリプシン | コラゲナーゼ |
|---|---|---|
| 反応速度 | 速い | 遅い |
| 細胞損傷 | やや有り | 少ない |
| 幹細胞維持 | 普通 | 優れている |
| 組織分離 | 単純 | 精巧 |
コラゲナーゼは毛包組織をより穏やかに分離できるため、
幹細胞の生存率と機能維持の面で長所があるとされています。
| 酵素 | 長所 | 短所 | 推奨用途 |
| トリプシン | 速くて安価、簡単な細胞分離 | 細胞表面の損傷 | 培養された細胞の回収、単層細胞 |
| コラゲナーゼ | 細胞外基質の分解に優れ、細胞生存率が高い | 高価、処理時間が長い | 毛包真皮、幹細胞の分離 |
モディヘアプラントの毛包幹細胞治療はどのような違いがあるのでしょうか?
モディヘアプラントでは、毛髪移植の経験をもとに、毛包が持つ再生能力に注目しています。
特に毛髪移植と毛包幹細胞治療を併せて適用し、移植された生着環境と既存の毛髪の維持環境を同時に考慮した治療を行っています。
患者様の脱毛症の状態と頭皮の状態を十分に評価した上で、
個人別の治療計画を立てます。
※ 治療方法は患者様の状態によって異なる場合があります。
このような方に役立つ可能性があります。
- 初期のアンドロゲン性脱毛症
- 毛髪が次第に細くなっている場合
- 毛髪移植後に生着環境を高めたい場合
- 薬物治療だけでは満足できない場合
- 既存の毛髪をできるだけ維持したい場合
よくある質問(FAQ)
Q. 毛包幹細胞治療は毛髪移植をしなくても可能ですか?
患者様の脱毛症の状態や治療目的によって異なります。場合によっては単独での治療が可能なこともあり、毛髪移植と併行するとより良い結果が期待できる場合もあります。
Q. 効果はいつから現れますか?
個人差はありますが、一般的に数ヶ月にわたって毛髪の太さや密度の変化が現れる場合があります。
Q. 研究結果だけで効果が立証されたのですか?
今回の論文は非常に励みとなる結果を示しましたが、研究陣もより大規模な多施設研究が必要であると説明しています。したがって、現在は既存の治療と併せて患者様の状態に合わせて適用することが重要です。
まとめ
毛包幹細胞治療は、単に脱毛症を遅らせる治療を超えて、縮小した毛包の再生の可能性を研究する新しいアプローチです。
2025年に発表された国際論文では、毛髪の密度と太さの改善という意味のある結果が報告されており、今後さらに多くの研究を通じて根拠が蓄積されることが期待されます。
脱毛症は進行度合いも原因もそれぞれ異なるため、正確な診断に基づいて自分に合った治療方法を選択することが重要です。モディヘアプラントでは、個人別の状態を十分に分析し、毛髪移植と毛包幹細胞治療を含むオーダーメイドの治療計画をご提案いたします。
本コンテンツは国際学術誌に発表された研究内容をもとに作成され、医療陣の監修を経て掲載されました。紹介された研究結果は特定の治療効果を保証するものではなく、治療方法は患者様の状態によって異なる場合があります。