
毛髪移植をご検討中の方とカウンセリングをしていると、次のようなご質問をよくいただきます。
「院長はどのような機器を使っていますか?」
もちろん、毛髪移植で使用する機器も重要です。しかし、同じ機器を使用しているからといって、結果まで同じになるわけではありません。
毛包をできる限り損傷なく採取し、採取した毛包を適切な環境で保管し、必要な部位に合わせて分類して移植する全工程が、一つのシステムとしてつながっている必要があります。
モディヘアプラントは、専用チェア、専用パンチ、毛包顕微鏡、毛包分類容器、毛包保管システム、クリニック内の毛包幹細胞研究所まで、毛髪移植の各工程に必要なシステムを備えています。
今回の記事では、それぞれの機器が何かを並べるよりも、なぜ必要なのか、そして毛髪移植の過程でどのような役割を果たすのかをご説明します。
要点まとめ
✔ 毛髪移植の結果は、採取から管理までの過程で決まります。
✔ 専用チェアは安定した採取環境をつくります。
✔ 専用パンチは、皮膚と毛髪の特性に合わせて毛包の損傷を減らすのに役立ちます。
✔ 顕微鏡による検品と毛包の分類は、必要な部位に適した毛包を選ぶための工程です。
✔ 臓器移植用保存液と低温保管は、採取した毛包を安定的に管理するための工程です。
✔ 幹細胞研究所は、毛包幹細胞治療のための研究環境です。
良い毛髪移植は、毛包をできる限り損傷なく採取し管理することから始まります。
毛髪移植は、単に毛髪をたくさん植える手術ではありません。採取した毛包をできる限り損傷なく確保し、移植直前まで適切な環境で管理する過程が、結果に重要な影響を与えます。
毛包は生きた生体組織です。採取の過程で物理的な損傷を受けることがあり、体外に出た後は温度や保管環境、待機時間の影響を受けることがあります。
そのため、良い毛髪移植のためには次の工程がすべて重要です。
- 患者様が安定した姿勢を保てるか
- 毛包を適切な角度と深さで採取しているか
- 採取した毛包を顕微鏡で確認しているか
- 必要な部位に合わせて毛包を分類しているか
- 体外に出た毛包を適切な環境で保管しているか
1. 専用チェア:患者様の快適さが安定した採取につながります

非切開の毛髪移植は、数千個の毛包を一つずつ採取するため、比較的長い時間が必要です。一般的な手術台でうつ伏せの姿勢のまま長時間手術を受けると、顔や首、腰に負担がかかることがあります。
患者様が不快感を覚えると、姿勢を頻繁に変えたり体を動かしたりすることになります。これは単に手術がつらいという問題にとどまりません。医療スタッフが一定の角度と深さを保ちながら毛包を採取することにも影響する可能性があります。
モディヘアプラントでは、非切開毛髪移植専用のチェアを使用しています。患者様は自然に座った姿勢で手を使うことができ、視野が確保された状態で映画や動画を見ながら手術を受けることができます。
専用チェアの目的は、単に快適さを提供することではありません。患者様が安定した姿勢を長く保てるようサポートし、医療スタッフがより一定した環境で毛包を採取できるようにすることに意味があります。
2. 専用パンチ:皮膚と毛髪の状態に合わせて採取方法を調整します

頭皮と毛髪の状態は人それぞれ異なります。皮膚が硬い方もいれば柔らかい方もいて、毛髪の太さやくせの程度、毛包の向きも異なります。
非切開の毛髪移植では、パンチが皮膚表面を通過して毛包周囲の組織を分離します。皮膚表面は比較的硬いのに対し、深い層にある毛包の根元や周囲の脂肪組織ははるかに柔らかく繊細です。
モディヘアプラントで使用している専用パンチは、タッチパネルでさまざまな回転方式と振動モードを設定できます。比較的硬い皮膚表面では切削に適したモードを使用し、深い層ではより穏やかな方式に切り替えて、毛包にかかる刺激を減らすようにしています。
また、上部に接続された陰圧システムは、採取の過程で毛包が揺れないよう安定して固定するのに役立ちます。
専用パンチを使用する理由は、毛包を速く採取するためではなく、患者様ごとに異なる皮膚と毛髪の特性に合った設定で、毛包の損傷を最小限に抑えながら安定して採取するためです。
3. 毛包顕微鏡:採取した毛包の状態と特性を確認します

採取した毛包はすべて同じ形ではありません。一つの毛包から毛髪が1本生える単一毛包もあれば、2本または3本以上が一緒に生える複数毛包もあります。
ヘアラインのように自然な表現が必要な部位には比較的細い単一毛包が適しており、密度が必要な内側の部位には複数本を含む毛包を活用できます。
モディヘアプラントでは、採取した毛包を顕微鏡で確認し、毛髪の本数や太さ、形、損傷の有無を検品します。その後、移植する部位の特性に合わせて毛包を分類します。
顕微鏡の画面は手術室のモニターと接続されているため、医療スタッフは手術中も毛包の状態を確認でき、患者様も採取した毛包を直接ご覧いただけます。
顕微鏡による検品は、単に毛包を数える工程ではなく、限られた毛包を必要な位置に効率よく配置するための工程です。
4. 毛包分類容器:必要な毛包を速く正確に見つけます







顕微鏡で検品した毛包は、毛髪の本数や太さ、使用する部位に応じて分けて管理する必要があります。分類が明確でないと、移植の過程で必要な毛包を探し直したり移し替えたりする時間が増える可能性があります。
モディヘアプラントでは、毛包分類容器を使って単一毛包と複数毛包、移植部位ごとの毛包を区別して保管しています。医療スタッフは必要な毛包をすぐに確認して使用できるため、不要な移動や待機時間を減らすことができます。
たとえば、自然なヘアラインをつくる際は1本で構成された単一毛包を優先的に使用し、内側の密度を高める必要がある部位には2本以上を含む毛包を適切に配置することができます。
毛包分類容器は小さな道具ですが、正確な毛包の配置と効率的な手術の進行を支える重要な役割を果たします。
このように分類された毛包は、医療スタッフが必要な毛包を素早く選べるため、移植の過程がより効率的に進みます。
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5. 毛包保管システム:採取した毛包はどのように管理されるのでしょうか?

毛包は採取された瞬間から、体外の環境に置かれることになります。
どれほど損傷なく毛包を採取したとしても、移植するまでどのように管理するかもまた、非常に重要な工程です。
モディヘアプラントでは、採取した毛包を臓器移植用保存液に入れて管理しています。臓器移植用保存液は、細胞や組織が体外にある間、周囲の環境を一定に保つために開発された溶液です。急激な環境変化から組織を守り、移植までの間、安定した状態を保つのに役立ちます。
臓器移植の分野で組織を一定の環境で管理するという考え方を毛包の保管にも応用し、移植までの間、より安定した環境を保てるよう管理しています。
その後、毛包は一定の低温を保つ冷蔵保管機器で管理されます。低温環境は、採取した毛包を移植するまで一定の状態で管理するための工程で、臓器移植用保存液と併せて使用されます。
では、なぜ低温と保存液を併用するのでしょうか?毛包は体から切り離された瞬間から、酸素や栄養の供給を受けられない状態になります。細胞は自らを維持するためにエネルギー(ATP)を使い続けますが、体外ではこのエネルギーを十分に作り出すことが困難です。この状態が長引くと、細胞が代謝的に疲弊し、さらなる損傷が生じる可能性があります。
低温環境は、細胞の代謝速度を遅らせ、エネルギー消費とそれに伴う損傷を減らすことを目的としています。ここに細胞内部と組成が近い等張性の臓器移植用保存液(例:カストディオール)を併用すると、体外に置かれた組織をより安定した状態に保つのに役立ちます。このような低温・保存液の併用方式は、臓器移植や組織移植の分野で、組織を体外で管理する際に広く確立されてきた方法です。
毛包をどのような溶液に、どのような温度で保管するのが良いかは、国際学術誌でも継続的に研究されているテーマです。保管溶液の種類と温度は併せて考慮される必要があり、モディヘアプラントはこうした研究と臓器移植分野で確立された原則を参考に、毛包の保管環境を管理しています。
また、毛包は採取直後から顕微鏡による検品と分類が行われ、必要な順序に合わせて準備されるため、医療スタッフは必要な毛包を素早く確認して使用することができます。
結局のところ重要なのは、臓器移植用保存液と適切な低温環境によって、採取した毛包を体系的に管理する過程です。こうした管理システムは、毛包が移植されるまで安定した環境を保つうえで重要な役割を果たします。
6. 毛包幹細胞研究所:細胞分離のための施設と人材が必要です


毛包幹細胞治療は、毛包を採取するだけで終わるものではありません。毛包から必要な細胞を分離するためには、適切な機器や施設、熟練した人材が必要です。
モディヘアプラントはクリニック内で毛包幹細胞研究所を運営しており、専門スタッフが常駐して、患者様の毛包から必要な細胞を分離する工程を行っています。
外部機関へ検体を移送することなく、クリニック内で手術と細胞分離の工程がつながっているため、各工程を一貫した流れで管理することができます。
毛髪移植を上手に行うために手術経験と熟練度が必要なように、毛包から細胞を良好な状態で分離するためにも、専門的な施設と経験が必要です。
良い機器よりも重要なのは、各工程がつながる仕組みです
機器が多いからといって、必ずしも良い毛髪移植の結果が得られるわけではありません。重要なのは、各機器がどのような目的で使用され、医療スタッフがそれを患者様の状態に合わせて活用できるかどうかです。
モディヘアプラントの毛髪移植システムは、次のようにつながっています。
- 専用チェアにより、患者様が安定した姿勢を保ちます。
- 専用パンチを患者様の皮膚と毛髪の特性に合わせて設定します。
- 採取した毛包を顕微鏡で検品します。
- 毛包分類容器を使って移植部位に合わせて区別します。
- 臓器移植用保存液と低温保管環境で管理します。
- クリニック内の研究所で毛包幹細胞の分離工程を行います。

これらすべての工程の目的は一つです。
毛包をできる限り損傷なく採取し、移植までの間、適切な環境で管理することで、より良い毛髪移植の結果につなげることです。
毛髪移植の結果は、一つの機器だけで決まるものではありません。
患者様が快適に手術を受けられる環境、
患者様ごとに異なる皮膚と毛髪の特性に合わせた採取、
採取した毛包の検品と分類、
移植までの管理、
そして必要な場合には毛包幹細胞治療まで。
これらすべての工程が一つのシステムのようにつながったとき、より良い結果が期待できます。
モディヘアプラントはこれからも、採取から保管、検品、分類、移植まですべての工程を継続的に研究・改善し、より自然で長く維持される毛髪移植の結果を目指して努めてまいります。
よくあるご質問(FAQ)
Q. 良い毛髪移植には機器が最も重要ですか?
機器も重要ですが、どのような機器を使用するかよりも、患者様の頭皮と毛髪の状態に合わせて機器を活用し、採取から検品・分類・保管・移植までの過程をどれだけ体系的に管理しているかがより重要です。
Q. 臓器移植用保存液はなぜ使用するのですか?
採取した毛包は、体外にある間、外部環境の影響を受けることがあります。モディヘアプラントでは、臓器移植用保存液と低温保管環境を併用し、毛包が移植までの間、安定した環境で管理されるようにしています。
Q. 毛包はなぜ顕微鏡で確認し、分類するのですか?
採取した毛包は、毛髪の本数や太さ、形がそれぞれ異なります。顕微鏡で状態を確認した後、単一毛包と複数毛包を区別して必要な部位に合わせて使用することが、より自然なデザインと効率的な移植に役立ちます。
Q. 毛髪移植の結果は、機器さえ良ければ変わりますか?
良い機器だけで結果が決まるわけではありません。患者様の状態を正確に分析し、適切な採取と検品、分類、保管、移植まで、すべての工程が有機的につながるシステムが併せて整っていてこそ、良い結果が期待できます。
Q. 毛髪移植のクリニックを選ぶ際は、何を確認すべきですか?
毛髪移植のクリニックを選ぶ際は、機器の種類だけでなく、医療スタッフの経験、採取と検品の過程、毛包管理システム、アフターケアなどを併せて確認することをおすすめします。各工程が体系的に運営されているかを確認すると、クリニックの手術システムを理解するのに役立ちます。
Q. 非切開の毛髪移植では、毛包をどのくらいの時間保管するのですか?
毛包は採取後、可能な限り適切な環境で管理され、手術の進行に合わせて順次移植されます。保管時間そのものよりも、適切な管理システムが重要です。
参考資料
- Nerkar GM, Waknis PP, Kharat AH, Yeole SB. An In vitro Study Comparing the Survival of Hair Follicles in Various Storage Media at Different Temperatures for Hair Transplant Procedure. International Journal of Trichology. 2025;17(2):121–127. PubMed
- Thuangtong R, Chaweekulrat P, Thanomkitti K, Triwongwaranat D, Rujitharanawong C. Effect of Platelet-Rich Plasma and other Key Factors on Hair Follicle Preservation. International Journal of Trichology. 2023;15(2):50–55. PubMed
※ 上記の研究は、保管溶液と温度が毛包の生存に与える影響を調べたものであり、個々の患者様の結果を保証するものではありません。
ご自身に合った毛髪移植システムが気になる方へ
頭皮と毛髪の状態は患者様ごとに異なるため、必要な採取方法や管理の過程も異なる場合があります。
モディヘアプラントでは、カウンセリングを通じて頭皮と毛髪の状態を確認し、患者様に適した毛髪移植の計画と手術システムをご案内いたします。
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本記事は医療スタッフの監修を受けて掲載しています。